私は判決が出るまでに、4回の裁判を行いました。
4回の刑事裁判を振り返り、実体験をもとに刑事裁判について解説していきます。
Contents
刑事裁判とは
刑事裁判とは、刑法上で罪を犯したと思われる、被告人に対し有罪か無罪かを決める裁判です。
有罪になった場合は、どの位の刑罰を与えるのか(懲役刑・罰金)も決められます。
裁判所の雰囲気は、良くテレビで出てくるそのままでした。
- 前方に裁判官
- 左が検事
- 右が弁護人
- 手前が被告
- 後方に傍聴人
という配置です。
判決までの流れ
判決までの流れをまとめると13の項目にわかれています。
- 裁判官による人定質問
- 検察官による起訴状朗読
- 裁判官による黙秘権の告知
- 罪状認否
- 証拠調べ手続
- 検察官による冒頭陳述
- 検察官による証拠調べ請求
- 弁護人による証拠調べ請求
- 被告人質問
- 検察官の論告・求刑
- 弁護人の弁論
- 結審
- 判決
事件の規模や連続性などにもよりますが、被告人が争わない場合は、1から12までを初公判でおこない判決は別の日に受けることになります。
それぞれ簡単に説明していきましょう。
裁判官による人定質問
裁判が開始されると、始めに被告人の個人情報を尋ねられます。
- 氏名
- 年齢
- 職業
- 住居
- 本籍
検察官による起訴状朗読
本人確認が終わると、検察側から起訴状を読み上げられます。
起訴状は、警察側からの被害届や取り調べ時の供述調書をもとに作成されています。
検察官の裁判所での役割をわかりやすく言うと、被告人がいかに悪いことをしており、情状酌量の余地がないかということを追及してきます。
当然ですが、供述調書は裁判で有力な証拠となりますので、正確な供述調書を作成することが重要です。
供述調書については、上記記事で詳しく書いています。
裁判官による黙秘権の告知
検察官の起訴状朗読が終わったら、裁判官から黙秘権があることを告知されます。
被告人は常に黙秘権がありますが、使い方によっては心証に悪影響を及ぼすこともあるので注意しましょう。
罪状認否
黙秘権の説明を受けたら、検察官が読み上げた起訴状に間違いがないかを確認されます。
ここで認めた場合は、罪状に対する量刑を決めていく流れになり、否認した場合は弁護側と検察側が罪状について争うことになります。
検察官による証拠調べ請求
検察官側から、起訴状の根拠となる証拠を提示して、犯罪があったことを証明する時間です。
証拠には証人・証拠書類(メールの履歴や通話履歴等)・証拠物(凶器についた指紋など)の3種類があります。
裁判官は、検察官が提出した証拠に対して、被告人側に意見を確認したうえで証拠として採用するかどうかを決定するのです。
弁護人による証拠調べ請求
検察の証拠の立証と同様に、被告側の弁護人側も、被告側の有利になりそうな証拠を提出することができます。
被告人が争わないで罪を認めている場合は、量刑上で有利となる証拠を提出することになりますが、争う場合は無罪を勝ち取るための証拠を提出する必要があります。
私の場合は、争わないケースでしたので、情状証人の尋問として家族と職場の上司が弁護してくれました。
検察側と争う場合は、弁護人の腕前が重要ですが争わない場合は、判例に基づいて量刑を考慮されます。
被告人質問
弁護人が被告に対して、質問を行います。
目的は、量刑上有利となることや無罪判決を得るなどです。
私への質問は、なぜ罪を犯したのか、どのような心境だったのかなどを質問されました。
検察官の論告・求刑
検察側・弁護人側の発言が終わったら、検察官から今回の事件について求刑を提出されます。
被害者感情や、社会に与えた影響などを考慮され量刑の範囲内で最大限厳しい求刑を私は求められました。
弁護人の弁論
検察官の論告求刑が終わると、この裁判での求刑に対して、被告人の情状酌量について、弁護人が裁判官へ提案してくれます。
私も随分と弁護人・家族・友人・上司には本当に励まされました。
結審
全ての進行が終わると結審となりますが、結審は当日ではなく後日行われます。
改めて裁判所へ行き、裁判官より有罪になった場合は、量刑を告げられます。
無罪や執行猶予が付くと当日釈放されますが、私の場合は判決が有罪で懲役刑だったので、その日より受刑者となりました。
どのように判決を決めているのか
実際にどのように裁判官が量刑を決めているかというと、前提としては判例をもとに決められています。
良く取り調べ中などに、「正直に言わないと裁判で心証が悪くなる」とか「拘置中の態度が良くないと裁判で心証が悪くなる」誤解されがちです。
しかし、私の経験ではその場を取り繕うために、余計なことをペラペラ話しても反省坊主にしても量刑に影響は出ません。
あくまでも、判例に沿った量刑が出るということを覚えておくと良いでしょう。
民事裁判との違い
民事裁判と、刑事裁判の違いは簡単に言うと
刑事裁判は、刑法に触れ起訴された被告に対して、刑法に沿い量刑を決められるものです。
民事裁判は、刑法には触れてないものの、個人の人権や権利を傷つけられたりした場合に、個人もしくは企業などが損害賠償などを請求するための裁判です。
わかりやすい例が、皆さんよく聞く名誉棄損で訴える等です。
まとめ
- 刑事裁判はテレビドラマで見るのと、まったく同じ雰囲気である
- 刑事裁判は13の項目に沿って進行する
- 罪を認める場合は、結審までは早い
- 罪を認めない場合は、検察側と争うことになる、この場合は弁護人の手腕が重要である
- 量刑はあくまでも判例で決められる。(余計なことを白状したも、反省坊主にしても情状酌量に加味されない)
最期までお読みいただきありがとうございました。
次回は、判決後の刑務所移送待ちについて記事を書かせていただきます。
本人に間違いがないか確認し、誤って違う人を裁くことがないように確認するんですね。